法定相続情報制度・・・運用開始が平成29年ですから、もう結構前からある制度ですね。私が今更解説しなくても、とっくに他の先生方が解説しておられますが、正直なじみのない方も多いと思います。そこで私も改めて、こちらに記載しておこうと思います。
法定相続情報制度とは、「戸籍謄本などの書類と家系図のような一覧図を作って一緒に法務局に持ってきてくれたら、一覧図に認証文付けてあげるから、これからは一覧図を戸籍代わりに相続手続で使っていいよ」という制度です(少し砕けた説明にはなりますが、大筋ではまちがっていないはずです)。
制度が作られた理由は、相続登記がなされないまま放置される不動産が多いため、空き家問題が顕在化してきたことにあります。相続登記の大きなハードルとして、戸籍謄本の取得というものがあります。どの範囲のものが必要なのか、そもそも何が書いてあるのか達筆すぎて読めないなど、慣れない人が解読して収集するのは骨が折れると思います。取得するのにわざわざ役所にいかなければならないのも面倒です。そこで、一回戸籍謄本などを取得してもらい、それを提出することで、戸籍謄本一式の代わりになる書類を発行してもらえる、それを金融機関や法務局に提出できるというわけなんです。なるほど、便利な制度だなあ・・・
とはなりませんよね?結局戸籍謄本を取得することに変わりはないし、いちいちそれを解読して、決まりに則った家系図みたいな書類も作らなければなりません。ではどうしてこんな制度にしたのかといいますと、複数発行してもらって、複数の手続を同時に進めることができるからです。
この制度ができる前は、いくつかの機関に相続関係書類を提出する必要がある場合、まず戸籍謄本を一式取得して、それを用いて不動産登記、次にゆうちょ銀行、次に他の銀行、銀行が終わったら証券会社・・・というように、順繰りに手続を進めるか、同じ戸籍謄本を複数用意して同時進行するかしかなかったわけです。しかし、法定相続情報一覧図を複数取得していれば同時進行が可能となります。印鑑証明書などを複数取得しないと、結局は同時進行できないのですが、少なくとも戸籍取得のコスト削減にはなります。
つまり、時間的にお急ぎでない方、複数の機関に相続関係書類を提出する必要がない方であれば無理に取得する必要はないかもしれません。我々であれば、不動産の相続登記を申請する際に、法定相続情報の申請を同時にし、登記完了後金融機関などに一覧図を提出する、というように利用します。はたして空家問題の対策に寄与しているかはなんとも言えませんが、上記のような場合は使える制度だと思います。